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【2ちゃん怖い話】トンネルで仮眠してたら...

151 :長いトンネルでの体験①[sage] 投稿日:2010/07/28(水) 00:03:41 ID:bd2FdL+60
私は、置き薬の配置員をしている、西日本在住の四十代半ばの男です。
これは、つい先週の7月20日に体験した出来事です。
その日私は、昨夜の寝不足と、午前中に炎天下の田舎道を長く歩いたのとで、昼食の後、エアコンの風に当たりながら車を運転していると、こらえきれようのない眠気に襲われ始めました。


そのまま運転を続けると、間違いなく居眠り事故を起こしてしまいそうだったので、少しの時間睡眠を取ろうと、車を停めることのできるような木陰を探しながら走っておりました。
やがて車は長いトンネルに入りました。
そして中ほどまで来たとき、所々に設けられている待避所の一つに車を停め、そこでいっとき眠ることにしました。
このトンネルは、細くてカーブの多い国道に替わって最近建設されたバイパスの途中にあり、反対側がまだ工事中で細い山道のままのためか、通行する車は少なく、トンネル内はたいへんに静かでした。
運転席側の窓も、助手席側の窓も両方開けてバックシートを倒すと、じとっと湿ってはいるけれども、ひんやりと冷たい空気が車内を満たし、私は、たちまち心地よい眠りに落ちていきました。
しかし、少ないながらも時折は車が通り、その度に、ゴーッという轟音で、私の眠りはかき乱されたのでした。
何度目かの、ゴーッという轟音の後、ふと、夢うつつの耳に、コッツ、コッツと誰かが歩いてくる足音が聞こえてきました。
「ああ、この長いトンネルを歩いて通る人がいるんだなあ」朦朧とした頭で、そう思いました。

152 :長いトンネルでの体験②[sage] 投稿日:2010/07/28(水) 00:08:55 ID:qJNcstwq0 [1/3]
しかしながら、自分のだらしない寝姿を見知らぬ誰かに見られるのは、なんとも居心地がよくありません。
私は、目を覚まして起き上がろうとしました。
が、体は、全くいうことを利かなくなっておりました。
私は、全くの金縛り状態に陥っておりました。
そして、コッツ、コッツという足音は、ゆっくりとではありますが、次第次第に近づいてくるようでした。
全く身動きができず、無抵抗な自分のもとへ、見知らぬ誰かが近づいてくる。
その誰かは、なんとなくこの世のものではないもののように感じられ、私の中で、恐怖心が大きく膨れ上がってきました。
怖い、怖い、怖い。
ふと気がつくと、いつの間にやら足音は聞こえなくなっていました。
しかし、誰かがすぐそばに確実に居るという気配がひしひしと感じられます。
例えようのない焦燥感の中、「誰か居るのか?誰か居るのか?」とは思っても、首を動かすことはおろか、視線を動かすことすらできません。
が、なんとかこじ開けようとした、ぼんやりとした視界の片隅に、私は、とうとう見てしまったのです。
助手席のすぐ横で、一人の男が、じーっと立って居るのでした。
その男は、ワイシャツ姿で、こちらに背を向けて、トンネルの内壁の方に向いたまま、オレンジ色の照明の中で、ただじーっと立っておりました。
とにかくもう、気味が悪くてたまりません。
私は、前よりいっそう焦って、目を覚まそう、起き上がろうと念じました。
その甲斐あってか、よたよたといった感じで、少しずつ体を動かすことができ始めました。
まだ頭は朦朧としていましたが、なんとか起き上がって周りを見渡すと、もう誰も見当たりません。

153 :長いトンネルでの体験③[sage] 投稿日:2010/07/28(水) 00:16:40 ID:qJNcstwq0 [2/3]
このトンネルは、長さが3,000メートル近くもありながら、出口から入り口までを見通せる、完全な直線のトンネルです。
実際に誰かが歩いて通ったのだとすると、まだどこかを歩いている姿が見えて然るべきはずなのに、誰も見当たりません。
「やはり、この世のものではなかったんだ」そう思い、急いでトンネルを出ることにしました。
バックシートを起こして、助手席側の窓を閉めようとすると、眠る前に全開にしたと思った窓が、半分ほどしか開いてません。
「あれっ?」と思いながらも、エンジンをかけ、待避所を出て再び車を走らせ始めました。
その時です。
ゴーッという轟音で、私は目を覚ましました。
今度は本当に目を覚ましました。
なんと私は、まだ待避所で眠ったままだったのです。
バックシートも倒したまま。
運転席側も助手席側も窓は全開にしたまま。
改めて、入り口の方も出口の方も見渡しましたが、やはり誰も見当たりません。
しかし、もう怖いとは感じませんでした。
先ほどまでの、金縛り状態の中での恐怖感は溶け去っていました。
金縛り状態のときによく起こる、自分自身で幻を作り出すという現象だったのだ、と思いました。
「不思議な体験だったなあ。あのとき、通りかかる車がなくて、そのまま夢の中で運転を続けていたら、どこに行きついたのだろう。」と考えながら、トンネルを後にしました。 (おわり)

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