169 :I鳴峠 1/4[sage] 投稿日:2010/05/21(金) 00:01:40 ID:ywS2JqVy0
九州の有名な心霊スポット、I峠での話。
現在は旧道・旧トンネル共に封鎖されているが、そこにまだ入れた頃。
とある学生たちの男女グループが、1台の車に乗り合わせ、肝試しに訪れた。
使われなくなったトンネルの中央あたりに車を停め、彼らは外に出て、
円になってしゃがみこみ他愛もない話をしていた。
「何も出ないじゃん」などと軽口を叩いていると、
グループのうちの一人の女性(Aとする)が、
じっとトンネルの入り口を見つめていることに彼らは気がついた。
「どしたの?」と問いかけると、Aはそれに答えず、バッと後ろを向いた。
そしてすぐさまAは勢いよく振り向くと、鬼のような形相で「車に乗って!」と叫んだ。
170 :I鳴峠 2/4[sage] 投稿日:2010/05/21(金) 00:02:26 ID:JTTr9wQL0
えっ? と戸惑う彼らをドアの中に押し込むように車に乗せた後も、
「早く出して! 早く、早く!」と、運転手を殴らんばかりの勢いで叫び続ける。
その剣幕に押され車を発進させたのだが、Aはまだ錯乱状態。何を問うても答えにならない。
と、その時。運転席のドアが、外側からガンガンと鳴った。何かを叩き付けるような激しい音。
思わずスピードを緩めかけた運転手だが、Aがなおも「いやー! 逃げてー!」と叫ぶので、
アクセルを踏み直し、トンネルを抜け、しばらく走ったあたりのコンビニの駐車場に車を停めた。
その頃には、Aはようやく叫ばなくなってはいたものの、ひくひくと泣いている。
時間をかけて落ち着かせ、何があったのかを問うと、しばらくは黙って俯いていたが、
やがて小さな声で、ぽつりぽつりとAは語りだした。
171 :I鳴峠 3/4[sage] 投稿日:2010/05/21(金) 00:04:43 ID:JTTr9wQL0
「みんなで、トンネルの中に座ってた時にね。入り口の方で、ライトが光ったの。
ふたつ見えたから、車だって思ったのね。
誰か入ってきたんだ、邪魔だから移動しなきゃって思ったとき・・・
その、光が。凄いスピードで、私たちを、すり抜けていったの。
びっくりして振り返ったら・・・その車が、Uターンしてこっちに来たの!
だから、逃げなきゃって思って・・・」
Aの他に、その光を見た者は誰もいなかった。
にわかには信じられないと首を振る皆に、Aはなおも続けた。
「そのあと・・・運転席のとことのドア、凄い音がしたでしょ。
あのとき、追いついてきたその車が、私たちの車の真横を走っててね。
おかしいよね? そんな車幅なかったでしょ?」
その通りだった。
172 :I鳴峠 4/4[sage] 投稿日:2010/05/21(金) 00:05:45 ID:ywS2JqVy0
「おじさんが、運転席にいて・・・おばさんが、助手席にいて。
それで・・・助手席のそのおばさんが、窓開けて、こっちに乗り出して、
私たちの車をバンバン叩いてたんだよ! 誰も見えなかったの!? ねぇ!?」
誰ひとり、口を開く者はいなかった。
たしかに車のドアは激しく鳴っていた。けれど、そんな車は見えなかった。
ふたたびAは泣き出した。落ち着かせるため、運転手が飲み物を買いにいくと車の外に出た。
何気なく振り返った彼が、ものすごい叫び声をあげた。
車外に飛び出した者たちが見たのは、白い車のドアに無数に浮かび上がる、真っ赤な血の手形だった。
I峠には決して、白い車で行ってはならない。
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